お答えします 200X年XX月XX日木曜日 (ロシアの図書館)

    お答えします 200X年XX月XX日木曜日
    2004-2006.09.14

    A.お題
    ロシアの図書館
    https://soundcloud.com/sputnik-jp/library

    翻訳担当:平谷・真野
    メロディ=1-1

    再放送日時
    2010年8月5日
    2010年8月8日


    C.本文

    3136
    前置

    3230
    前置(手紙紹介)

    3310
    ロシアの古い名称はルーシ、そのルーシの国に図書館が現れたのは、まだ10世紀から11世紀のころです。
    年代記に図書館の記述が現れるのは1037年、そこには古代ルーシの支配者ヤラスレフケンコウがギリシャ語の本を翻訳し、スラブ語の本を写本するために写字性を集め、当時のルーシの都、つまり今のウクライナの首都キエフにあるソフィア大聖堂にそれらの本を保管するよう命じたと書かれています。
    そして12世紀にはもう、ウラジーミル、ムーロム、ノーブロゴ、プスコフ、ロストフ、ラザン、スーズラリ、スモレンスクなど多くの都市に図書館ができていました。
    修道院の図書館の蔵書は数十冊という小規模なものから数千冊に及ぶこともあり、内容は宗教的な文献の他にも、年代記・記録文学、また薬草についての本、ほんぞうしょ、医療手引、そしていくつかの文学作品などがありました。
    また15世紀・16世紀にモスクワを中心としたロシアの統一を完成させたイヴァン3世・ヴァシーリー3世、そして雷帝の名で有名なイヴァン4世の豪華な図書館についての記録が残されています。

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    イヴァン雷帝から1世紀後のピュートル大帝・ピョートル1世の改革なかで専門別の図書館、技術図書館、医学図書館、造船関連図書館、航海術関連図書館、鉱山業図書館、砲術図書館など一連の専門の図書館が作られています。
    そして1714年にはそれら多くの分野の本を一同に集めた総合図書館が設立され、これが1725年に科学アカデミー図書館に再編されるのです。
    また18世紀には書籍収集が流行になり、地主などが蔵書を作り、宮廷でも本のコレクション、例えばエルミタージュコレクションが形成されたりしています。
    また次々に公共図書館や工場図書館、児童図書館、学術図書館が開設されていきました。

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    そして1814年に当時のロシアの帝国の首都、サンクトペテルブルグで提出公共図書館が盛大に開設されています。
    これはその後、サルティコフシェチェトリン図書館と改称し、今日はロシア国民図書館 (これは英語に直しますとRussian Nathonal Lavralyとなっていますけど)という名前のロシア国民図書館となる世界最大の図書館が開設されます。
    この図書館は3300万冊を収蔵し、その設立時から国内のすべての、つまり出版所が図書館に納める一定部数のその義務献本を収集し、所蔵しています。

    また誰もが利用できるこのロシア最古の図書館に併設する形で1845年から61年にかけてルミャンチェフ博物館がありました。
    この博物館に名を冠しているニコライ・ルミャンチェフという人は伯爵で18世紀末から19世紀初頭にかけて外務大臣や祭祀を務めた有名な国家活動家でした。
    そしてこの博物館のコレクションを作ったのがルミャンチェフ伯爵なのです。
    このルミャンチェフ伯は政治家としてよりも本や古文書としての収集家、パトロンとしてその名が知られています。
    ルミャンチェフ伯は全生涯をかけて書籍コレクションを増やし、彼がこの世を去ったとき、本と古文書の数は28000点を超えていました。
    また彼のコレクションにはそのほかにも絵画や彫刻、希少鉱物、硬貨、それに考古学的に価値のある品などがありました。

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    このニコライ・ルミャンチェフ伯の本や古文書、趣向のコレクションをもとに、1862年にモスクワに図書館が設立され、これがその後、ロシアのメインの図書館となります。
    つい最近までレーニン図書館、レーニン名称図書館と呼ばれていたロシア国立図書館、「」、英語で言うとロシアステートライブラリーです。
    その蔵書のなかにはルミャンチェフ自身の手で自分の目を大事にするように、この本を丁寧に扱うことと書かれた彼のコレクションが今日まで保管されています。
    現在このロシア国立図書館は、世界最大の図書館の1つです。
    ここに保管されている書籍は、人類の歴史が経てきた科学や活動のすべての分野を余すことなく網羅していると言っても過言ではありません。
    この図書館は真にロシアのたどってきた記憶メモリーのすべてなのです。

    否、ロシアのメモリーに留まりません。
    ここにはその充実度と内容に関して比類ないコレクション、ロシア内外の247の言語で書かれた出版物のコレクションがあります。
    その蔵書点数は4200万冊以上、その中には多くの古文書コレクション、書籍芸術のユニークな品や事実上、ロシアの全時代の出版物・楽譜・地図・録音なども含まれています。

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    ロシア帝国政府は全国的な無料の図書館、閲覧室網の構築を全面的に奨励し促進しました。
    それは国の後進制を解消し、国民の文盲を撲滅することを目的としてのものでした。
    この帝政時代の功績を自分のものとしたのが、その後のボリシェビキ共産党政権でした。
    しかし共産党政権での図書館事業における功績も正当に評価しなければなりません。
    実はソビエト国家における図書館は共産党の政策を実現させるための道具の1つだったのです。
    図書館を用いて党は、何よりも文盲の一掃、民衆の啓蒙、科学と文化の紹介という目的を達成して行きました。

    しかし共産党の目的はそればかりではなく、マルクス・レーニン主義のプロパガンダのため、自らの政治的方針のアジテーションのために図書館を利用したのでした。
    最大限国民を自分の影響下におくために、ソビエト国家は国内での図書館事業の発展に力を注いだのです。
    その結果、ロシアには世界でも最も広い範囲を網羅する図書館システムが作られていきます。
    その数は約15万、その中には世界最大級の図書館から農村の小さな図書館まで含まれています。

    ソ連時代、その市民たちは自分たちを世界で最も本を読む国民だと考え、それを誇りにしてきましたが、実際にソ連国民の読書と図書館通いは広範な大衆的に浸透した現象だったのです。

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    その後のペレストロイカの立て直しとソ連からロシアへの移行時期は革命的なプロセスでした。
    それは平和な状況の中で起こったこととはいえ、それと同時に社会生活の全領域の大変動・大変革を伴うものだったのです。
    ソビエト連邦は統一国家として存在しなくなり、その国境の中に自治統治システムを持ち、独自の法律、独自の通貨を持ち、文化・科学・情報活動分野での独自の政策をもつ一連の独立国家が生まれます。
    そしてソ連の共通の情報空間が崩壊し、かつて存在した統一の図書館・出版事業、そして書籍供給のシステムが分裂してしまいます。
    国境ができ、関税徴収が導入され、出版物の価格や郵送料金が値上がりし、そして経済危機などによって今まで維持されてきた各図書館の安定し確固とした職業上のコンタクトが保てなくなります。
    それと同時にCIS独立国家共同体各国内に独自の情報システムが構築され始め、その際ことさら自国の利益に傾いた方向転換が図られるようになりました。
    ソ連時代の各共和国の図書館をベースにCIS各国の独立した図書館が形成され、自国民の言葉による新たな出版システムが形成されるようになります。
    それというのもかつてのソ連時代には大部分の本がロシア語で出版されていたからです。

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    ところで重大な変化はロシア連邦のロシアの中の図書館システムでも起こりました。
    ソ連時代のほぼ全期間を通して図書館の数が増え続け、読者の数も出版物の数も伸び続けたのですが、1980年代末から90年代初頭にかけてこの傾向に歯止めがかかり、図書館利用者と出版量が逆に激減します。
    この期間は国内での深刻な社会的変化の時期と一致します。
    特に1992年には経済改革が行われ、その結果、物価の値上がりは歯止めが効かなくなり、これが図書館経営もを直撃しました。
    一部の図書館は厳しい財政事情のために閉鎖され、1996年までに図書館の数は14パーセントも減ってしまいました。
    これは社会にとって大きなげったぎぎでした。
    図書館を何としてでも守らなければならない、なぜならばこの深刻な物価高の時期に本が買えない一般の人々にとって図書館は社会生活の中心であり、人々のコミュニケーションの場所だったからです。

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    その1990年代の初めごろ、本の買い手の需要の減少、つまり本が買われなくなったことと、ロシアの社会学者らによって指摘されていますが、これは読者の消費能力が低下し、またインターネットが急速に普及したことと関連しています。
    そういうことであって決して本が読まれなくなったことを意味するものではありません。
    却ってそれによって図書館の必要性が高まっていたともいえます。
    こうした中現在ロシアでは150の大型図書館をはじめとし、ロシア全土の図書館を1つのコンピューター網でくくる全ロシアコンピューター図書館網の整備作業が終わろうとしています。
    その主な目的はコンピューターテクノロジーを用いて1か所の図書館にいながら必要な情報を得られるようにすることにあります。
    ところでロシア国民の読書好きはアンケート調査でも明らかになっています。
    自由な時間の過ごし方として読書は依然同様テレビに次いで第2位となっています。
    自由な時間をほんの読書にあてると言った人は42.4パーセント、また新聞が27.8パーセント、雑誌が20.4パーセントとなっています。
    しかしもちろんすべての本や新聞雑誌を買えるわけがありません。
    ですから図書館の社会的な役割は相変わらず高いと言えるのです。

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    もう1つ、1990年代に大きな変化が起こりました。
    ロシア連邦内の民族の文化に対する注目が高まり、連邦内のすべての共和国内にあった地方図書館が国立図書館へとステータスを変えたのです。
    現在こういった国立図書館のステータスを持つ図書館は14あります。
    と同時にソビエト時代の最大級の図書館もロシア連邦の新たなシステムのなかでそのステータスを変えました。
    ソビエト時代にはレーニン国立図書館、ソ連科学アカデミー図書館、ソ連国立公共科学技術図書館など、こういった大きな図書館が全ソビエト連邦をくくる中心図書館、拠点としての役割を果たしてきましたが、ソビエト崩壊後これらは全てロシアの所轄に入ってしまったのです。

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    この時期に多くの図書館がその名称を変えています。
    例えばモスクワにあるレーニン国立図書館はロシア国立図書館ステートライブラリーに、またサンクトペテルブルグのサルティコフシチェドリン記念国立公共図書館はロシア国民図書館ナショナルライブラリーに、またソビエト連科学アカデミー図書館はロシア科学アカデミー図書館にとそれぞれに改称しています。
    政治状況の変化は図書館の社会的役割や機能をも変え、脱イデオロギー化、民主化を進めることになりました。
    例えば政治的宗教的動機で基金フォンドを作る際の禁止的条項もなくなっています。
    例えばこれにはロシア人文学者が亡命先で書き残した文書を取得して保管する基金なども含まれます。
    ですからロシアにとっては情報を得る機会が増えています。
    検閲がなくなり、以前は問題不出の憂き目を得ていた文書が保管庫から出され、出版の禁止が解かれています。

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    と同時に文化が権力機構のために貢献するということはなくなりました。
    つまり政治の道具であることをやめたのです。
    これは図書館の経済状況にも反映されました。
    最大規模の図書館でさえ、その予算は連邦の法律による承認を得なければならず、未だに新たな本や定期刊行物の購入資金に事欠き、建物の警備維持に困る状況です。
    ロシア連邦の新たな憲法は地方政府の権限を強化し、その地方の文化発展に関する問題は地方政府自身が解決するようにと定めています。
    この権利が引き起こした結果はいい面悪い面両方あって、経済状況が安定している地方では指導者たちは文化の役割を正しく理解し、図書館もますます充実しているのですが、そうではない地方は図書館は瀕する一方で時には閉鎖されることもあります。

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    近年図書館はますますロシアの地方の文化生活を左右する存在となってきています。
    というのも人口の集中する地域の多くでは、図書館は唯一無料で情報を提供してくれ、みんなに文化財産に触れる機会を与えてくれる最後の施設となっているからです。
    最近図書館の来館者の数が特に都市部で著しく増えています。
    特に若い層が増え、事業を始めたばかりの起業家やいろいろな学習コース、編み物や生け花・外国語・ダイビングなどこういったことを学ぶ人たちが多く訪れています。
    もちろん低所得者層の学生・障害者・年金生活者・失業者なども頻繁に来館しています。

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    ロシアには図書館員の社会的組織がいくつかあります。
    その最大のものがロシア図書館協会といい、ロシアを代表する国家組織として図書館協会の国際連盟に属しています。
    このロシア図書館協会の指導の下、5月27日を全ロシア図書館デーと定められ祝われています。
    この日はロシアで初めてできた図書館、つまり現在のロシア国民図書館の創立日にちなんでいます。

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    それではどのようにして図書館に本が入るのかについてご説明しましょう。
    方法は2つあって、1つが中央及び地方の本のコレクターを通す方法、もう1つが書籍販売機関や出版社から直に贈られてくる方法です。
    1994年からブックインプリント、新館図書目録というカタログが雑誌やE-MAILの形で定期的に出版されるようになり、これを図書館員は見て、自分の図書館に本を注文できるようになっています。
    実は本の市場の供給をかなりアップさせているのは図書館の需要なのです。
    ロシアに点在する図書館の1つ1つがまったく違う状況下にあって、相対で描いてみると実にバラつきのあるまだらな地図が出来上がります。
    つまり1つの場所に情報過多と情報過疎が隣接しているのです。
    ユネスコ国連教育文化科学推進機関が提唱する基準では、図書館は人口1000人に対し毎年250冊の本を購入すべきだとしています。
    これはいわゆる必要最低限の冊数です。
    ところがカムチャッカではこれが500冊、カレリア地方では375冊、ヤクーチアでは345冊となっているのに対し、ヴォロネジでは76冊、タンヴォフでは61冊、ペンザでは28冊と全く対局の数値が見られます。

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    ロシア全土の図書館数は全部で13万件ですが、そのうち公共図書館・学校図書館が12万件です。
    国立図書館に関しては文化省が管轄していて、省の完全管轄下にある最大級の図書館は9つ、その中のモスクワのロシア国立図書館もサンクトペテルブルグのロシア国民図書館も入っています。
    ロシアの図書館は改革が行われている間にその15パーセントが姿を消しました。
    その代り来館者の数は増えました。
    ロシアの全国民の半数は年に少なくても1回は図書館を利用しますし、それ以外の半数はもっと頻繁に来館します。
    よく図書館を利用する層は主に先に述べたとおり、学校に通う学生たちです。
    ロシア国民のほとんどが金銭的にそんなに恵まれた状況にありません。
    本屋で買うには高いし、田舎で買うには本の売っている種類が限られています。
    ですからこんな場合図書館は、本が好きで本なしの人生なんて考えられないという人にとってはなくてはならない存在なのです。

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    実は私たちのラジオ局、「ロシアの声」のある建物の中にも図書館があります。
    この建物には私たち以外にもいくつかのラジオ局が入っているのですが、図書館はラジオ局で働く人すべてに開かれています。
    今はラジオの職員は何かを調べようというときにはインターネットや資料に頼ることがますます多くなってきています。

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    でも単に自分が何かを読みたいとき、また子供に読み物を選んでやりたいとき、わたしたちはこの図書館によく行きます。
    そして図書館で働いているのはみんな親切で博学な人ばかりなのです。
    図書館のテーマは尽きることがなくて、大きな図書館だけのことをとってもいろいろと話すには時間がなくなってしまいました。
    非常に残念です。
    そうした図書館のどこをとってもほとんど伝説に近いような壮大な歴史があって、語っていけばロシアの科学文化に貢献した有名な人たちの名前もたくさんあげられるのですが、今回はその代りロシア全体の図書館の状況を大きく描いてみたということでご勘弁ください。

    5550
    締め

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